会長挨拶

学会の役割と実働

平成29年 第39代会長 上坂 充(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 教授)

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16年ぶりに会長の2年続投となりました。この時期にその責任を重く受け止めております。

この1年の原子力の状勢は、5つの原子力発電所が再稼働となり、厳しい難局の中でも徐々に前進が得られております。ベストミックスとしての電源構成(原子力比率20-22%)を2030年に達成するには40年以上の原発の再稼働、さらには新規の稼働の必要性の議論が始まっております。学会としては、アカデミアとして、原子力の安全・リスクにつき、人文社会学も視野に入れた議論を踏まえ、指標・目標を示していきたく考えます。深層防護の第5層である防災対策にも踏み込んで取り組んで参ります。大津地裁の高浜原発の仮処分の件も、学会誌および昨年9月の大会の理事会セッションで取り上げ、学会全体で学習しております。地域住民の皆様、ひいては国民の皆様全体の視線をもちながら、活動を展開していく所存であります。

福島に於かれましては、4月に避難区域の一部の解除がありました。しかしながら、避難されている方々には困難がまだ多くあることを認識しております。多くの方々の1日も早いご帰還をお祈りいたします。学会では、「福島第一原子力発電所廃炉検討委員会」を通して廃炉計画に貢献していく所存です。「福島特別プロジェクト」では復興に向けて地域の方々に寄り添う活動を継続します。「福島復興・廃炉推進に貢献する学協会連絡会」は36学協会の参画を得て活動が開始されております。土木系、地質学系の学協会と連携が見えてくる段階となりました。廃炉・復興に向けた具体的アクションプランを開始して参ります。

学会ではこれからの我が国の原子力を支える若手(YGN(Young Generation Network))と学生(学生連絡会)の活動の支援を推進しております。特に2020年に開催予定の原子力青年国際会議(IYNC)を日本に誘致出来たら良いなどと考えております。原子力人材育成ネットワーク活動との連携も強化しております。IAEAと共同の教材の国際標準化も取り組みます。研究・教育・人材育成の面で、大学の研究炉の再稼働は朗報であります。これで原子力系学科・専攻の学生に対する原子炉の運転・使用の教育が再開されます。学会では出力とリスクに応じた規制のグレーディドアプローチに関する具体的提言を作成していきます。

一方、エネルギーセキュリティ、核燃料サイクル、高速増殖炉、さらには核融合までを含めた総合的な議論を展開し、原子力の可能性を検討していきたいと思います。放射線応用は、原子力の重要な分野であり、様々な活動を展開していきます。

そのような折、日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センターでの被ばく事故が起きました。我が国挙げて安全・セキュリティ強化を図っていた矢先で、とても遺憾と感じております。同機構に対して、原因の分析と再発防止をお願いいたします。並行して学会では、このような事故を起こさない、職場環境・活性化・体制等の内的要因も分析していきます。

社会への発信は、会長記者会見・学会見解等、わかりやすく、頻度を上げて行います。

学会の運営・体制・規則の改善や透明化を行い、会員の皆様と一緒に学会を盛り上げていきたいと存じます。


平成29年度副会長

駒野康男  MHIニュークリアシステムズ・ソリューションエンジニアリング(株)
岡嶋成晃  (国研)日本原子力研究開発機構
中島 健  京都大学