会長挨拶

平成30年度 第40代会長 駒野 康男

(MHIニュークリアシステムズ・ソリューションエンジニアリング(株) フェロー)

平成30年度第40代の会長に就任しました駒野です。

日本原子力学会は、公衆の安全をすべてに優先させ、原子力及び放射線の平和利用に関する学術及び技術の進歩を諮り、その成果の活用と普及を進め、もって環境の保全と社会の発展に寄与することを目的として活動します。

今期は、来年2月14日で、日本原子力学会発足60周年、人生でいう還暦を迎える節目です。10年節目で考えると一番苦境の時代ですが、原子力学会員約7,000名が、所属機関にとらわれず、役割分担しつつベクトルを合わせ進むことで、明るい未来が見える年になるように、先導的な役割を果たせればと思っています。

今期、以下を重点と考え、活動したく思います。

1.福島復興・事故炉廃炉の推進及び蓄積した知見の世界への発信

  • 福島復興への寄与とともに、事故炉廃炉の安全かつ円滑に進むように技術的・専門的な貢献を行うことが当学会として重要な責務であります。福島特別プロジェクトや福島第一原子力発電所廃炉検討委員会での活動に加え、福島復興・廃炉推進に貢献する学協会連絡会(36学協会参加)を通じ、本件における的確な情報発信や提言、技術協力等を行うこととします。
  • 東電福島第一事故で被害が大きくなった一因である防災/減災について、秋に他学会と協力して原子力シンポジウムを開催し、それをふまえ、春の年会時に対策の深化等を議論していきたく思います。
  • 福島関連で蓄積した知見を世界に発信していくことが日本としての重要な役目ですが、東電福一事故に関する和文誌論文や解説記事の英文化と公開や事故炉の廃炉に関する特集号の発行を計画しております。

2.原子力/放射線利用にやりがいや未来を感じる活動と若手育成

第5次エネルギー基本計画では、2030年度原子力比率は20~22%と記載あるものの新設に対する記載はないものとなっており、再稼働の遅延や廃炉決定が進む中、実現が難しいのではと意見も聞かれますが、当学会として、原子力の安全性向上や将来に向けた学術や技術の進歩に寄与を行っていきます。

  • 再稼働や継続的な安全性向上への寄与(断層問題への対応、RIDM/ROP活動の推進による安全性向上、安全高度化や効率的な審査に向けた標準制定/発行の手続き加速等)、安全確実な廃止措置(軽水炉、もんじゅ、研究炉等)
  • 新設軽水炉にむけた検討や提言
  • FBR開発/核融合技術等の進展、最終廃棄物も含めたサイクル全般への寄与
  • 再エネとの共存や地球環境問題からの提言 等

また、放射線利用や技術者の育成の観点から、以下の検討や提言を行っていきます。

  • 大学炉やNSRRに続くJRR3をはじめとする研究炉の早期再稼働による放射線利用研究推進
  • 全国の大学等での核燃・RI施設の現状調査・課題抽出・解決策の検討や提言
  • グレーデッドアプローチを含む合理的な規制基準の在り方検討 等

さらに、世界最先端の知見吸収や、世界で通用するグローバル人材育成に対しても取り組んでいきます。

  • 国際活動/海外学会との連携、交流支援 等

3.理解活動の推進/会員サービス向上と会員獲得

最近の経営改善及び皆さんのご努力により、一時の財務危機からは脱出しましたが、毎年100人の会員の減少が続いております。また、若手が少ない(20~40歳の正会員は全体の21%)ことや女性比率が4%と少ないことも課題であります。また、事故以降原子力に賛成する人の比率が2~3割と原子力への理解が極めて低い状態が続いています。
このような課題に対して、若手活動の強化や会員サービス向上を図るとともに、原子力・放射線の平和利用に関する理解活動の推進を行っていきます。

60周年事業として、来春のシンポジウムの開催、学会誌の特集号の発行、特別出版事業の実施及び会員サービス向上にむけたHP改善等を行う予定であります。


平成30年度副会長

岡嶋成晃  (国研)日本原子力研究開発機構
山口 彰  東京大学
中島 健  京都大学