一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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【意見公告】113. 統計的安全評価の実施基準:202x

ご意見の受付

受付期間 : 2021年03月16日 〜 2021年04月15日ご意見の受付は終了しました。

ご意見と対応

1名の方からご意見をいただきました。
ご意見・回答(No.113)

概要

 近年の計算機能力・解析手法の発達によって,詳細な核熱水力計算モデルを用いる最適評価コードの開発が進められてきました。これらの最適評価コードによって,高い信頼性をもって,妥当性確認のための試験結果を原子炉施設の条件へ外挿することができ,設計条件の変化に対する原子炉施設の挙動変化の感度を把握することができるようになりました。さらに,スケーリング手法に基づく計算モデル及び実験データに内在する不確かさの影響を定量的に把握するための手法が発達し,包絡的に設定された事象について,最適評価コードと不確かさの影響を考慮する新たな安全評価手法の開発が進んでいます。

 この手法を用いて,安全余裕を適正化しようとする研究が欧米を中心に進んでおり,その具体的なガイドラインとしてCSAU手法 (Code Scaling, Applicability and Uncertainty Evaluation Methodology) が米国NRCから発行 (NUREG/CR-5249 Quantifying Reactor Safety Marginsなど) されています。CSAU手法はLOCAの安全研究を背景としながらも,最適評価コードの使用と不確かさ評価の実施によって,運転時の異常な過渡変化解析を含めた広い分野に適用できる手法として発展しています。さらに,米国NRCから,運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故の解析手法としての計算モデルの開発と評価 (EMDAP; Evaluation Model Development and Assessment Process, RG-1.203 Transient and Accident Analysis Methods) が発行され,評価に適用する最適評価コードが備えるべき要件も明確になっています。

 米国などにおいては,原子炉施設の安全設計の基本方針の妥当性を評価するために用いられる信頼性の高い方法としてCSAU手法及びこれと同等な手法がすでに適用されています。日本国内でも,これら新しい安全評価手法に対する関心が日本原子力学会を中心に高まり,CSAU手法を主体とした国内原子炉施設への適用性研究も進展しています。この標準で規定するCSAU手法及びEMDAPを拠り所とした手法は,より広範な安全評価への適用を念頭において作成されたもので,これを“統計的安全評価手法”と呼ぶこととします。

 このような背景に基づいて,この標準において取り扱う統計的安全評価では,まず不確かさの定量化を実施し,その結果に基づき最適評価コードによる解析と統計的な処理を組み合わせることによって,確率の情報を含むより現実的な評価結果を得ることができます。これが安全上の判断基準を満足することを示すことによって,運転時の異常な過渡変化及び設計基準事故が生じるとしたときの安全余裕を定量的に把握することが可能となります。本手法を取り入れることによって説明性の高い原子炉施設の安全評価が実現されるものと期待されます。また,本手法を適用することによって原子炉施設の安全性の確認に最新知見を反映できることが期待されます。さらに,安全評価に対する影響度の大きい解析条件及び最適評価コード又は計算モデルなどに関する個別の不確かさを適切に定量化できることから,今後の効率的な安全研究及び合理的な原子炉施設の設計を実施していくための議論に資することも期待されます。

 統計的安全評価の実施基準:2008(以下,“前標準”という。)は,(社)日本原子力学会が標準委員会発電炉専門部会における統計的安全評価手法標準分科会,同専門部会,同委員会での審議を経て制定したもので,2008年頃までに得られた知見に基づき,原子炉を設計するに当たって実施される安全評価解析において,統計的安全評価を実施する手順を規定したものでした。

 前標準の発行後,2011年3月11日に東京電力株式会社福島第一原子力発電所で,東北地方太平洋沖地震を引き金とするレベル7のシビアアクシデントが発生し,原子力の安全性への社会の信頼は大きくゆらぐ事態となりました。この事故の原因を解明し,その反省及び教訓を踏まえて原子炉の安全性を一層向上させることは,原子力における喫緊の課題であり,社会の信頼を取り戻すために必要な取り組みの一つとなっています。

 2008年に制定された前標準で採用された統計的安全評価手法は,201*年の現在でも,最も実績があり,また,最も信頼性が高い方法であるとの評価は変わっていません。しかし,制定から10年を経過した現在,この事故の教訓に基づき,最新知見に照らして内容を継続的に改善し,安全評価の信頼性及び説明性を着実に向上させる必要がありました。

 このような状況を受けて,システム安全専門部会では2017年3月に,改定の必要性を認めて統計的安全評価標準分科会を再開することにしました。この再開によって,原子力安全に関わる産官学の幅広い技術者,研究者,規制機関の関係者などが参集し,標準の改定を進めました。同分科会では,新しい評価技術及び最新知見に関する広範な調査を実施して,得失を分析した上で,この標準ヘの導入のために慎重に審議し,学術的に公平かつ公正な審議を通じて標準の改定作業を行うことで,前標準と比較して,最新知見を踏まえた科学的により信頼性があり,説明性の高い安全評価手法ヘと改定しました。

 前標準からの主な変更点としては,基本的な統計的安全評価の方法は変更しないこととし,評価の各手順において用いる様々な方法に関して,最近の進展を踏まえて,より進んだ実績のある新しい方法を導入し標準の高度化を図りました。また,それに合わせて適用例の更新を行いました。さらに,この標準と関連性の高い“シミュレーションの信頼性に関するガイドライン:2015”における記載との一貫性の向上を図りました。また,図による説明,個々の方法の実施に当たっての留意点などを追加し,前標準に比べ分かりやすい記述・表現となるように努めました。

 統計的安全評価の実施基準:202*は,(一社)日本原子力学会がシステム安全専門部会の下に統計的安全評価標準分科会を設けて検討し,システム安全専門部会,標準委員会での審議を経て策定・発行するものです。この標準は,発電用軽水型原子炉施設の安全評価において,高い確信度で判断基準ヘの適合性を評価するための標準的な統計的手法を実施基準として規定したものです。

    AESJ-SC-S00x:202xには,次に示す附属書があります。ただし,附属書(参考)は標準の一部ではありません。
  • 附属書A(規定) 最適評価コードの要件及び管理
  • 附属書B(規定) 重要度ランクテーブル(PIRT)の作成
  • 附属書C(参考) 統計的安全評価の適用例
  • 附属書D(参考) 統計的安全評価の具体的手順の説明
  • 附属書E(参考) 最適評価コードの要件及び管理,並びにスケール則に関する補足
  • 附属書F(参考) 重要度ランクテーブル(PIRT)の作成に関する補足
  • 附属書G(参考) 最適評価コードの適格性評価の考え方
  • 附属書H(参考) 統計的安全評価手法における不確かさの拡大及び保守性について
  • 附属書I(参考) 統計的安全評価に用いる確信度についての考え方
  • 附属書J(参考) 安全評価の実施方針についての考え方

お問合せ先,ご意見提出先

一般社団法人 日本原子力学会 事務局 標準委員会担当
所在地:〒105-0004東京都港区新橋2-3-7 新橋第二中ビル3F
E-mail:sc[a]aesj.or.jp  ←[a]を@に置き換えてください
Tel:03-3508-1263  Fax:03-3581-6128

提出方法及び留意事項 ・提出方法
ご意見は文書(日本語)で郵送,FAX又は電子メールにて「ご意見提出先」ご提出下さい(様式は任意)。
なお,冒頭に氏名,連絡先(住所,電話番号,FAX番号又は電子メールアドレス)及び所属(会社名,団体名等)を必ず明記していただくとともに,ご意見が原案のどの箇所に対応するかを明らかにして下さいますよう,お願い申し上げます。
いただいたご意見は,原則として氏名を付けて公開させていただきますのでご了承下さい。
その際,ご意見中に,個人に関する情報であって特定の個人が識別され得る記述がある場合及び法人等の財産権等を害する恐れがある場合には,該当場所を伏せさせていただく場合があります。

標準案の閲覧

標準原案(SC-PUB113 PDF・5.3MB)