理事会だより
国際活動に関する取り組み状況
1.はじめに
国際活動委員会は、本会の理事会のもとにある13の常置委員会の一つであり、本会の国際的な活動を所掌しています。当委員会が所掌するものとしては、海外学協会との協定締結・国際協力、国際活動の財務、国際原子力学会協議会(INSC)の運営、環太平洋原子力協議会(PNC)の運営、国際会議の開催、学生交流事業など、国際活動に関する事項です。
今回は、2025年の秋の大会において本委員会主催で開催した企画セッション「学会表彰制度と学会における人材育成と国際化 ―若手人材の海外活動の重要性とその活性化方策―」と、本委員会の重要な所掌事項である海外学協会との協定締結・国際協力の状況とその課題について記します。
2.企画セッション「学会表彰制度と学会における人材育成と国際化 ―若手人材の海外活動の重要性とその活性化方策―」について
本セッションは、加治芳行前委員長が、二ノ方壽先生の米国原子力学会(ANS)のSeaborg medalの受賞を記念して企画されたもので、人材育成と国際化に焦点を当て、二ノ方先生の受賞記念講演と、海外との交流経験がある3名の若手研究者に講演をいただきました。
東京科学大学名誉教授・ミラノ工科大学客員教授の二ノ方壽先生には、「液体金属冷却高速炉の熱流動・安全解析分野での国際貢献と人材育成を考える」という演題で、ご自身の研究業績についてご講演をいただくとともに、若手研究者への期待とメッセージをいただきました。「大事なことは継続、Don’t give it up、止まらないで先を目指せば新しいことが必ず生まれ出る、そして新しいアイデアに絶えず挑戦して欲しい」、「研究は一人ではなく、仲間と社会に支えられる活動である」、「研究を通して未来社会に貢献できる誇りを持ってほしい」、「研究を通して未来社会に貢献できないと思っても、自信と誇りを持ってほしい」などの熱いメッセージが伝えられました。また、国際的な認知を受けるためには、国際学会活動への参加を通してキャリア形成を広げる必要があり、国際協力・共同研究への積極的な参加、国際会議・学会への積極的な参加、などの重要性が語られました。
若手研究者の海外活動報告として、JAEAの蓬田匠氏には「海外での研究活動~パリ地球物理研究所での滞在事例~」、日立製作所(若手連絡会)の村上洋平氏には「若手の国際活動とIYNC2022誘致で得られた気づき」、九州大学の梅原裕太郎氏には「日米欧原子力学生国際交流事業で得た学び」の演題で講演をいただきました。自身らの経験を通して得た海外活動の重要性、その活性化方策についてお話をいただきました。さらに若手研究者の皆さんから各々、学会賞の受賞により自身が受けた影響、その価値、などについても発言していただきました。
3.海外学協会との協定について
本学会が学術交流協定を結んでいる海外の学協会とは原則5年ごとの更新を行っています。米国原子力学会(ANS)、フランス原子力学会(SFEN)、カナダ原子力学会(CNS)、韓国原子力学会(KNS)、ハンガリー原子力学会(HNS)、チェコ原子力学会(CNS)、オーストラリア原子力協会(ANA)、英国原子力学会(NI)、インド原子力学会(INS)の9の海外学協会とは協力協定更新を終えています。一方、カザフスタン原子力学会(KSK)、中国核学会(CNS)、ベトナム原子力学会(VNS)、マレーシア原子力学会(MNS)、モンゴル原子力学会(MNS)の5学協会とは協定期間が過ぎてしまっている状況です。
国際活動委員会では、上記の学協会との一層の交流を図るべく、国際活動委員会内に国際協定ワーキンググループを設置し、海外学協会との協力に関する学会内の整備を推進するとともに、海外学協会との協力の状況を確認し、今後の国際協力・交流の推進に必要な事項を検討しています。海外学協会とのつながりは、ともすればその交渉窓口を特定の人に頼った属人的な運営になりがちで、これが協定の定期的な更新が行われなくなる一因と言えます。その点を改善して組織として対応できるような態勢を整えること、定期的にSeasonal greeting letterなどを送ること、ホームページの充実、などの活動を始めました。
協定を締結した海外学協会とは、主催する会議(年会等)への最大2名の無料参加枠が相互に認められています。加治前委員長はこの制度を積極的に利用できるように、「協定学協会主催会議への無料参加枠の利用細則」を制定し、会員に制度の利用の呼び掛けなどを行われましたが、これまでにこの制度を利用された例はほとんどありません。また海外からの本学会の大会への参加も皆無とのことです。せっかくこのような制度があるのですから、これを積極的に利用いただけるような取り組みも必要だと感じています。
以上、本委員会として開催した企画セッションと、海外学協会との交流について記しましたが、今後も本会の国際活動がより活発に行われるように活動を続けてまいります。会員の皆様からのご意見、ご提案などを是非ともお聞かせいただきたく、また温かいご支援・ご協力をお願いいたします。
瓜谷 章(国際活動委員会委員長、名古屋大学)
