一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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理事会だより

2025年度理事会の取り組み

1.新役員の紹介

 2025年6月20日に開催された第15回総会において,新役員12名(理事11名,監事1名,再任含む)が選任され,非改選役員8名と合わせ,20名の新体制が構築されました。
 総会中に会長・副会長を選出するとともに,同日に新体制にて第1回理事会を開催し,各役員の担当を決定いたしました。各役員の主な担当業務は以下のとおりです。

役職 氏名 所属
会長 越塚 誠一 東大
副会長(部会,支部) 小崎 完 北大
副会長(会員) 辻本 和文 JAEA
副会長(財務) 吉岡 研一 東芝ESS
理事(財務,企画) 伊阪 啓 関電
理事(標準,会員) 井田 俊一 MHI NSエンジ
理事(国際,支部) 瓜谷 章 名大
理事(倫理,広報) 大場 恭子 JAEA
理事(企画,総務) 可児 祐子 日立GEベルノバ
理事(会員,総務) 河村 浩孝 電中研
理事(教育,部会) 北田 孝典 阪大
理事(ダイバ,教育) 小林 容子 メカニカルデザイン
理事(標準,福島) 鈴木 哲 QST
理事(ダイバ,編集) 高木 直行 都市大
理事(編集,支部) 日野 正裕 京大
理事(広報,福島) 溝上 伸也 東電HD
理事(企画,倫理) 村田 勲 阪大
理事(国際,部会) 山野 秀将 JAEA
監事 竹野 美奈子 日本原電
監事 新津 好伸 日本原燃

 なお,総会にて審議あるいは報告された2024年度の事業報告・計算書類および2025年度の事業計画・収支予算などの資料はWebにて公開されています。

 https://www.aesj.net/soukai20250620

2.2025年度の取り組み

 本会は,公衆の安全をすべてに優先させて,原子力および放射線の平和利用に関する学術および技術の進歩をはかり,その成果の活用と普及を進め,もって環境の保全と社会の発展に寄与することを目的としています。これは一般社団法人日本原子力学会の定款第3条に書かれており,2025年度においてもこの目的に向かって活動します。
 東京電力福島第一原子力発電所(1F)の事故を防ぎ得なかったことは,原子力に係わるすべての研究者,技術者,組織が真摯に受け止めるべきものであり,今後長期にわたり取り組まれる1F廃止措置への学術的提言の発信を引き続き行ってまいります。「廃炉検討委員会」,「福島特別プロジェクト」,「福島復興・廃炉推進に貢献する学協会連絡会」(ANFURD)の活動には継続的に取り組みます。
 2025年2月に第7次エネルギー基本計画が閣議決定され,既設炉の最大限活用だけでなく,次世代炉の開発・設置に取り組むとされました。本会としては,1F事故の教訓と反省を忘れることなく,専門家の立場から学術・技術の発展に貢献していきます。
 社会への情報発信についても引き続き取り組みます。学会ホームページによる発信,プレスリリース,メール配信サービスに加え,ポジション・ステートメント活動の活性化,SNSの活用を進めて参ります。さらに,原子力の魅力と必要性を若者に伝えていくことが重要と考えております。こうした若者への発信は,原子力・放射線に関する人材を増やしていくことにつながります。
 学術および技術の調査・研究ならびに標準の制定,「春の年会」・「秋の大会」を始めとした会合などの開催,会誌や研究・技術報告などの刊行,研究の奨励および業績の表彰,「原子力総合シンポジウム」の実施,原子力教育に関する調査・検討と支援,人材育成活動への提言などに継続して取り組みます。
 また,活発な部会・連絡会活動,支部活動,フェローによる活動,広報活動,技術倫理の普及・定着,男女共同参画に関する調査・啓発活動,国際的な組織への参加,国際会議の主催準備なども実施します。標準委員会による標準策定も引き続き行います。
 本会における学術および技術の調査・研究成果を,より広く普及し活用を進めるために設置した会友制度を通して,入会者の増加にも取り組みます。
 本会の財務状況については,経費削減の努力や年会・大会および国際会議開催による収益増などにより2年連続で収支黒字化を達成しましたが,依然として会員の減少が続いており,厳しい状況が継続しています。引き続き,会員サービスの向上を図りつつ,オンライン会議等の活用による経費節減,教育会員の入会促進,賛助会員の増強,新規事業の開拓等の活動を継続し,長期的に安定した学会運営の基盤確立を図ります。
 理事会の取組みをより広く知っていただくための「理事会だより」を一昨年度より学会誌からホームページへ移行しております。2025年度も,タイムリーでわかりやすい情報提供を目指します。
 新型コロナウイルスに関して,新しい学会運営のあり方として秋の大会を対面,春の年会をWebにて開催する方針としましたが,やはり対面開催による情報交換活性化のメリットが大きいとの意見が多く,今後は対面開催に戻す方針としました。なお,年会・大会開催にあたっての担当支部の負担を軽減する方策等を,会員の皆様のご意見を踏まえながら検討してまいります。
 一連の学会活動の中で,2025年度は特に人材育成に重点を置きたいと考えています。再稼働や次世代炉の開発・設置を進めていくことは,長期にわたって原子力エネルギーを活用していくことを意味しており,多くの若者に原子力・放射線の分野に加わってもらい,将来を支えていただきたい。日本原子力学会では現状において様々な人材育成の活動が行われておりますので,そうした活動がさらに活発になるようにしていきたいと思います。

越塚 誠一(会長・東京大学)