一般社団法人 日本原子力学会 Atomic Energy Society of Japan

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沸騰水型原子炉の水化学分析方法―よう素131:2018(AESJ-SC-S009:2018)

1719

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3,850円
注文番号 1719-1

登録情報
  • ISBN : 978-4-89047-423-3
  • 担当部会 : 水化学管理分科会
  • 版型頁数 : A4/33
  • 発行年 : 2019/12/26
2,750円
注文番号 1719-2

登録情報
  • ISBN : 978-4-89047-423-3
  • 担当部会 : 水化学管理分科会
  • 版型頁数 : A4/33
  • 発行年 : 2019/12/26
内容紹介

<まえがきより>

“沸騰水型原子炉の水化学分析方法 - よう素131:2018”は,一般社団法人日本原子力学会が,標準委員会 システム安全専門部会 水化学管理分科会 BWR水化学管理指針作業会,同分科会,同専門部会及び同委員会での審議を経て制定し発行したものです。この標準では,プラントシステム全体の信頼性の維持,向上の観点から燃料破損を精度良く検知することを目的として,冷却材のよう素131濃度を化学分析するための具体的方法を規定しています。

沸騰水型原子炉(BWR : Boiling Water Reactor)では,高温高圧環境下で構造材料及び燃料被覆管が冷却材及び減速材としての水と接触しており,腐食反応により,水質によっては構造材料及び燃料被覆管の健全性に影響を及ぼす可能性があります。また,構造材料の腐食により発生する腐食生成物が水中に溶け出し炉心で放射化され材料の表面に移行して蓄積しますと,これが線源となって作業従事者の被ばく線量の上昇の原因となります。このため,水化学管理を適切に行うための指針の制定が必要とされてきました。

このような状況のもと,2011年に発生した福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ,軽水炉の自主的安全性向上の取組みのもとに水化学管理指針を策定することとなりました。水化学管理の目的は,構造材料及び燃料被覆管の健全性維持,並びに作業従事者の被ばく低減の3項目です。原子力安全の基本原則のうち,構造材料及び燃料被覆管の健全性維持は,“放射線リスク源を閉じ込めること”に繋がり,被ばく低減は,“人と環境を護ること”に繋がります。これらの概念を体系化し,原子力安全の達成,維持,向上に資することを目指した“沸騰水型原子炉の水化学管理指針:2019”を制定しました。

“沸騰水型原子炉の水化学管理指針:2019”では,構造材料及び燃料被覆管の健全性維持,並びに被ばく低減の観点から,通常運転時の原子炉水の水化学管理項目,診断項目,推奨値,アクションレベル,アクションレベル逸脱時の対応及び分析頻度並びに原子炉水の停止時の分析頻度を規定しています。また,品質管理の箇条で規定されている化学分析は,BWRにおける水化学管理の品質を担保するものであり,原子力安全に係る“異常・故障の発生防止”及び“異常・故障の検知及び拡大防止”に該当します。BWRシステム全体の安全性確保に係る項目について適切に運用管理するためには,精度の高い信頼性に優れた化学分析を行う必要があり,“沸騰水型原子炉の水化学管理指針:2019”を下支えするための化学分析方法の策定が求められていました。

この標準では,これら項目のうちJISなどで標準化されていない原子炉水のよう素131の化学分析方法を日本原子力学会標準として規定しました。よう素131は,“沸騰水型原子炉の水化学管理指針:2019”において,通常運転時の原子炉水において推奨値及び分析頻度が,並びに原子炉の停止時にはよう素131増加量の分析頻度が規定されています。よう素131はγ線放出核種で,その濃度はゲルマニウム検出器を用いて計測されますが,信頼性の高い定量分析では計測前に試料から妨害核種の影響を排除する化学操作が重要です。この標準では,よう素131の化学分析の具体的な方法に関する一般事項,サンプリング,器具及び装置,並びに化学分析操作を規定しています。

この標準を策定した後も,安全性向上に係る国内外の新知見を発電所の運用管理に適切に反映するため,プラントの運転経験及び新知見に基づく適用事例を解析しフィードバックを図ることにより,最新の化学分析技術を取り入れ,標準の改定を行っていきます。このような活動を通じて,原子力発電所の継続的な安全性向上に寄与できるものと期待されます。