本書は、1987年より4年間にわたって設置された「原子炉水化学」研究専門委員会の活動から得られた調査結果をまとめたものである。本委員会では、軽水炉燃料の高度燃焼化に伴って、水環境と燃料被覆管の相互作用の問題がますます重要となりつつあることに鑑み、作業分科会ZWIS(Zircaloy WAter Interaction Study Group)を設置し、燃料被覆管の腐食に及ぼす水環境の影響について調査を行った。国際的にも水化学技術の重要性の認識が次第に広まりつつあり、1994年にはフランス原子力学会主催によりニースで水化学国際会議が開催された。これは福井(日本)、ボーンマウス(英国)につぐもので、2年間隔で定期的に水化学国際会議が開催されることが定着した。今後のプラントの状況を考えると燃料の高燃焼度化、高経年化プラントの増大など種々の問題をかかえており、水化学技術の一層の高度化を進める必要性を痛感する。(「はじめに」より抜粋)