【意見公告】104. 加圧水型原子炉二次系の水化学管理指針:201X

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概要

この指針は,一般社団法人日本原子力学会が,標準委員会 システム安全専門部会 水化学管理分科会 PWR水化学管理指針作業会,同分科会,同専門部会及び同委員会での審議を経て制定したものです。この指針では,発電用軽水型原子炉の安全確保に係る冷却水などの水質管理(以下,“水化学管理”という。)が担っている役割を達成すべく管理方法を規定しています。その実践を通じ,プラントシステム全体の信頼性の維持,及び向上によるプラントの安全確保が期待されます。
加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)の二次系では,高温高圧環境下で構造材料が原子炉一次冷却材としての水と接触しています。一般に,金属材料と水の界面では腐食反応がおこりますが,とりわけPWR二次系のような高温高圧環境下では,水質悪化に伴い構造材料の健全性に影響を及ぼすことが懸念されます。特に水質悪化が長期間にわたると,蒸気発生器伝熱管の二次系側から発生・進展した腐食亀裂などの損傷が伝熱管の貫通に至り,一次系に含まれる放射性物質が二次系に放出されると,冷却材中に微量に含まれる化学物質のみならず放射性物質の環境放出に繋がる可能性があります。また,流れ加速型腐食(FAC:Flow-Accelerated Corrosion)による二次系配管の減肉は,系外への高温蒸気の噴出に繋がることから,作業従事者の安全確保の観点から重要な管理項目のひとつとなります。
腐食損傷の抑制による構造材料の健全性維持,特に,原子炉一次冷却材の二次系への漏えいによる汚染防止を目的とした蒸気発生器伝熱管の健全性確保による冷却機能の維持は,原子力安全の基本原則のうち,“放射線リスク源を閉じ込めること”及び“人と環境を護ること”に繋がります。原子力発電所全体としては,労働安全にも考慮する必要が有ることから,二次系配管の減肉管理も視野に入れた水化学管理を適切に行うことにより構造材料の健全性を継続的に維持していくことが求められます。
しかし,腐食損傷抑制対策としての水化学管理による運用変更では,多種の構造材料の健全性を維持することが求められており,電気事業者(以下,“事業者”という。)は,プラントシステムを包括的に捉え,多様な課題に対して,調和的に解決する必要があります。
このような状況の下,国内原子力発電所では,事業者が腐食や線源強度上昇に係る種々の試験結果や40年超にわたる運転経験から水化学管理に係る運用(管理項目,管理値,管理頻度,管理値逸脱時の措置 など)を定めるとともに,国内外の知見及び最新技術を適宜取込むことによって,水化学管理を実施してきました。しかし,2011年に発生した福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ,日本原子力学会は,原子力安全の基本原則を体系化し,原子力安全の達成,維持,向上に資することを目指し,規格類を整備することになりました。このため,軽水炉の自主的安全性向上への概念を取り入れた水化学管理指針を策定することとなりました。策定に当たっては,事業者間に限らず,異なる分野の専門家と利害関係を超えた公開の場で水化学管理のあり方を議論することが社会的に要求されています。このため,公平,公正,公開の原則に基づく日本原子力学会標準として水化学管理指針を策定することによって,福島第一原子力発電所事故後の安全性向上に係る取組みを示すことが期待されます。
この指針は,事業者やメーカの技術者にとって,より良い水化学管理を実践していく上で拠り所となるもので,解説に記載された管理値などの設定に係る技術根拠は,若手技術者への技術伝承のみならず,大学などの機関の研究者にとっても教材として幅広く機能することを期待しています。
この指針を策定した後も,安全性向上に係る新知見及び水化学などに係る最新技術を発電所の運用に適切に反映するため,国内外のプラントの運転経験及び新知見を解析しフィードバックを図ることにより,最新の水化学管理を取り入れ,指針の改定を行っていきます。このような活動を通じて,原子力発電所の継続的な安全性向上に寄与できるものと期待されます。

お問合せ先,ご意見提出先

一般社団法人 日本原子力学会 事務局 標準委員会担当
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E-mail:sc[a]aesj.or.jp  ←[a]を@に置き換えてください
Tel:03-3508-1263  Fax:03-3581-6128

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標準案の閲覧

標準原案(SC-PUB104 PDF・4.25MB)