原子力発電所の内部溢水を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2012(AESJ-SC-RK005:2012) (1215)

1215
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内容紹介

<まえがきより>原子力発電所の内部溢水を起因とした確率論的リスク評価に関する実施基準:2012は,日本原子力学会が標準委員会リスク専門部会の下に内部溢水PRA分科会を設けて検討し,リスク専門部会及び標準委員会での審議を経て策定及び発行したものです。原子力発電所の出力運転状態における内部溢水を起因として発生する事故に関する確率論的リスク評価(PRA)の有すべき要件及びそれを満たす具体的方法を,PRA実施の手順を踏まえて実施基準として規定したものです。原子力発電所のPRAは,確率論を用いて原子力発電所のリスクを総合的かつ定量的に評価する手法であり,炉心及び/又は燃料が損傷に至る事象に着目して,損傷に至る事故シナリオ及び損傷後の事象進展を同定し,その発生頻度及び影響について推定することができます。各国でPRAの技術開発及び事例適用,応用研究が進められてきた結果,今日では,PRAは,安全設計,運転管理,安全規制などの広い分野における意思決定プロセスを支援する効果的な手段と認識されるようになりました。また,2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故は,津波によって建屋内部に浸水するなどの影響によって,複数の安全上重要な設備が機能喪失してしまった事故ですが,このような安全上重要な設備の共通要因故障が炉心や格納容器などに及ぼす影響を分析する手段としても,PRAは非常に有用な技術です。我が国におけるPRAの適用例としては,アクシデントマネジメント策の有効性検討及び定期安全レビューにおける原子力発電所の定量的安全性評価があります。さらに原子力安全委員会において公衆のリスクを指標とする安全目標の中間報告が行われ,並びに炉心損傷頻度及び格納容器機能喪失頻度を指標とする性能目標が決定され,原子力安全委員会及び規制行政庁においてPRAから得られるリスク情報を活用した安全規制の導入に向けた検討が開始されました。PRAの有効性が認識され,その活用が進むに従い,品質及び透明性の確保が重要な課題となってきています。これらの資質を確保するためには標準的な評価手順を提示することが有効な手段であると考えられるため,標準委員会では,その活動の一環として原子力施設のPRAの実施に関する標準の整備を行っています。原子力発電所を対象とするPRAにおいては,一般的に,運転状態については,出力運転時と停止時を区別してPRAを分類し,想定すべき事象については,事故の発端となる事象の特性に応じて,発電システムの内部で起きる機器故障及び人的過誤などの内的事象に起因するPRA並びに地震,津波などの外的事象に起因するPRAに大別されます。またこれを評価する指標の範囲は,炉心損傷頻度までを評価するレベル1PRA,これに加えて格納容器破損頻度及び放射性物質の環境への放出量やタイミングなど(ソースターム)までを評価するレベル2PRA,さらに,公衆や環境への影響の頻度と大きさ(リスク)までを評価するレベル3PRAに分類されます。このように評価範囲が多岐に渡ることから,当学会におけるPRA標準の整備は国内での活用のニーズ,PRA技術の整備状況などを考慮して,段階的に進められています。この標準では,出力運転状態を対象とした,内部溢水に起因するレベル1PRAを実施する場合の考え方,満足すべき要件及び具体的な方法について調査検討を行い,関連する分野の専門家の意見を踏まえ,内部溢水PRAの実施基準について規定することにしたものです。

登録情報

  • 発行年 : 2012
  • 版型頁数 : A4/59
  • 重量(g) : 220
  • ISBN : 978-4-89047-362-5
  • 担当部会 : 内部溢水PRA分科会